現代社会では高血圧が問題となっていますが、適切な対策を行えば改善することができます。しかし、一人ですべてを管理することができないため、結局は改善できずに終わってしまうことがあります。
パーソナルジムでは、パーソナルトレーナーが筋トレ指導だけでなく、血圧に合わせた運動療法や食事指導を行ってくれるために、血圧を管理していくことができます。今回は、高血圧対策と効果的な運動方法について詳しく解説し、当ジム「T-Fitness」を例に、パーソナルジムでの高血圧対策の方への取り組みについても紹介します。
パーソナルジムでの血圧管理の重要性
パーソナルジムでは、主に無酸素運動と呼ばれる筋トレなど、高強度のトレーニングが行われます。無酸素運動にはメリットがたくさんありますが、血圧が上昇しやすいなどのデメリットもあります。
そのため、パーソナルジムでは血圧管理を行っていく必要性が高いといえます。ここでは、血圧を管理する重要性について詳しく解説します。
血圧測定の必要性
パーソナルジムで行う筋トレなどの無酸素運動は、健康目的の方にとってたくさんのメリットがあります。
<無酸素運動の健康効果>
- 筋力向上
- 基礎代謝の向上
- 生活習慣病の予防
- 心臓血管系の機能強化
- 腱や靭帯の強度増加
しかし、その裏腹に無酸素運動は血圧が上昇しやすいエクササイズであり、血圧が元々高い方は、急激に血圧が上昇することで頭痛やめまいを伴うことがあります。最悪な場合、脳梗塞など重度な病に直結してしまうこともあるでしょう。
健康目的で筋トレなどの無酸素運動を行うはずなのに、このような事態は避けなければなりません。筋トレなどの無酸素運動を行う場合は、適切な血圧でいるかどうか、高い場合は有酸素運動を中心のトレーニングにするか中止にするかなど、総合的な判断が必要です。
血圧の基礎知識
そもそも血圧とは、血液が血管を通る際に血管にかかる圧力のことです。心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力を「収縮期血圧」(最高血圧)、心臓が拡張して血液を受け入れるときの圧力を「拡張期血圧」(最低血圧)といいます。以下の表は、日本高血圧学会が定めた成人における血圧値の分類です。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |||
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 |
正常血圧 | <120 | <80 | <115 | <75 |
正常高値血圧 | 120-129 | <80 | 115-124 | <75 |
高値血圧 | 130-139 | 80-89 | 125-134 | 75-84 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159 | 90-99 | 135-144 | 85-89 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179 | 100-109 | 145-159 | 90-99 |
Ⅲ度高血圧 | ≥180 | ≥110 | ≥160 | ≥100 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≥140 | <90 | ≥135 | <85 |
参照元:厚生労働省「e-ヘルスネット」成人における血圧値の分類(mmHg〜)
高血圧の健康リスク
高血圧になると動脈硬化を引き起こしやすくなり、脳卒中や心臓病、腎臓病のリスクを高めます。実際、収縮期血圧が、現状よりも10mmHg上昇すると、脳卒中や心臓病のリスクが約15%増加するといわれています。
高血圧を下げるための運動方法
高血圧を下げるには運動が必要です。ここでは、血圧を下げるための運動方法について解説します。
有酸素運動
有酸素運動は、血圧を下げるために有効な方法です。具体的には、習慣的な有酸素運動は、収縮期血圧を約2〜5mmHg、拡張期血圧を約1〜4mmHg低下させる効果があります。また、高血圧患者においてはさらに大きな降圧効果が見られ、収縮期血圧が最大で8.3mmHg、拡張期血圧が最大で5.2mmHg低下することが報告されています。
有酸素運動が血圧低下につながるのは主に3つのメカニズムによります。
まず、有酸素運動は血管内の機能改善や血液の流れが良くなるためです。定期的な有酸素運動を実施することで、血管が柔軟になり、血液の流れがスムーズになりますが、これにより血圧が自然に低下するのです。
次に、有酸素運動は心臓のポンプ機能を向上させる役割もあります。運動により心拍数が増加し、心筋が強化されることで、同じ量の血液を送るのに必要な力が減少します。そのため、血圧が下がる効果が期待できることがわかっています。
そして、有酸素運動はダイエットなどの体重管理にも役立ちます。適正体重の維持は血圧管理において重要な要素であり、運動によって体脂肪が減少し、体重が減ることで血圧も低下します。
筋トレ
筋肉は心臓の補助ポンプとして働きますが、有酸素運動が心臓自体のポンプ機能を向上させるのに対し、筋トレはその筋肉という心臓の補助ポンプも鍛えることができます。つまり、有酸素運動だけでなく筋トレで筋肉を適切に鍛えていくことで、より血流の流れを促し、血圧を下げることができるといえるでしょう。
筋肉が少ないと心臓が血液を強く押し出す必要があり、結果として血圧が上昇します。特に、下半身の筋肉が少なくなると毛細血管の数も減少し、下肢への血流が減り、血圧が高くなります。実際、下半身の筋肉は全体の70%を占め、これらが衰えると筋肉量の大幅な減少につながります。
「高血圧治療ガイドライン2019」でも、持久性運動に筋トレやストレッチを加えることで、優れた降圧効果が得られると報告されています。
リズミカルな上下運動
このように、有酸素運動や筋トレのような身体活動を行うことで、血圧が下がりやすくなることが確認されています。また、それに加えて、ある研究では、特に「頭部の上下動」が血圧改善に大きな役割を果たすことが示されています。
具体的には、ジョギングや速歩きのようなリズミカルな運動によって、頭部に1Gの上下方向の衝撃が加わりますが、この衝撃により、脳内の間質液の流動が促進され、脳細胞(アストロサイト)に力学的刺激(流体せん断力)が加わることが判明しています。この刺激が血圧調節に関わる分子機構を活性化し、高血圧の改善に寄与することがわかっています。
さらに、高齢者の方などで「そもそも歩くのが難しい」「運動ができない」という方でも、座面上下動椅子などを使用することで同様の効果が得られることが示されています。
この研究では、高血圧症を有する成人が1日30分、週に3回、1ヶ月間(4.5週間)この椅子を使用したところ、血圧が改善し交感神経活性が抑制されることが確認されました。さらに、この効果は椅子の使用を終了した後も約1ヶ月間持続したとのことでした。
つまり、運動するから血圧改善できるということだけでなく、「頭部の上下運動」が血圧改善に寄与しているということになるので、高齢者で動けない人でも、座って振動が加わるマシンなどを活用するだけでも効果が得られると言えるでしょう。
食事による血圧管理
血圧を低下させるためには食事も重要です。パーソナルジムでは、食事指導も行うところがほとんどですここでは、当パーソナルジム「T-Fitness」が高血圧の方へ食事指導する際にお伝えしていることを解説します。
塩分摂取の制限
高血圧の予防と治療には食塩制限が重要です。日本高血圧学会は、1日6g未満の食塩摂取を推奨しています。
実際、食塩摂取量が少ない地域では高血圧の人が少なく、加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが明らかになっています。特に、血圧が130-139/85-89mmHgの「正常高値血圧」の人は高血圧や循環器病のリスクが高く、食塩制限を含む生活習慣の改善は今すぐに取り組むべきです。
また、糖尿病や慢性腎臓病の人は、正常血圧であっても高血圧になるリスクが高いため、特に食塩制限が重要です。ただし、低血圧や大量に汗をかく場合には例外もあります。ご自身の血圧状況によって、塩分の摂取量は調整していく必要があるでしょう。
DASH食と地中海食
地中海食は、ギリシャやイタリアなど地中海沿岸国の伝統的な食事パターンで、心臓病や脳卒中のリスクを減らすとされています。主に植物を中心とした食事で、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツを豊富に摂取し、オリーブオイルを主要な脂質源とします。
少量から中等量のワイン、魚、鳥類、乳製品を含み、赤肉は少なくします。この食事パターンは、高血圧や糖尿病の予防にも効果的で、ガイドラインで広く推奨されています。
また、DASH食と呼ばれる考え方も押さえておきましょう。DASH食は主に高血圧のガイドラインで推奨されている健康食で、果物、野菜、豆、低脂肪乳製品を豊富に摂取し、スナック、お菓子、肉類、飽和脂肪酸をなるべく摂取しない食事のことをいいます。
実際、DASH食を活用した血圧をモニターする試験では、高血圧患者の血圧が2週間で11.4mmHg低下する効果が示されています。乳製品を積極的に摂るかどうかの違いはありますが、DASH食も地中海食と同様に健康的な食品をベースにしています。
GABAの入った食品
GABAは、野菜や果物、乳酸菌発酵製品などに多く含まれるアミノ酸の一種のことをいいます。GABAの摂取が血圧を下げる理由は、その神経伝達物質としての役割にあります。
GABAは中枢神経系で興奮性神経伝達物質の放出を抑制し、リラックス効果をもたらします。この効果により、ストレスが軽減され血管が拡張しやすくなり血圧が低下します。
GABAをおすすめする理由としては、自然な成分で副作用が少なく、リラックス効果があることにより、血圧低下以外にも睡眠の質や集中力の向上が期待できる点です。健康的な生活習慣の一環として、GABAの摂取を検討することは非常に有用です。
まとめ
正しい運動や食事管理は、血圧をコントロールする上で非常に重要です。特に血圧が高い人にとっては、適切な運動と食事管理が不可欠です。
パーソナルジムでは、個々の体力や運動レベルなどのニーズに合わせたトレーニングプランや食事指導を提供するため、高血圧の予防と改善に大いに役立ちます。
当パーソナルジム「T-Fitness」には70代の高齢者の方も通われており、血圧の改善を目的とした方も多くいらっしゃいます。そのような方々も、「T-Fitness」での運動や食事指導によって血圧が改善できたり、姿勢が良くなったりといった成果が出ています。
血圧でお悩みの方は、ぜひ一度当ジムの無料体験にお越しください。